聖書はどう読めばいい?


「キリスト教では、なぜ聖書をそれほど大切にするのでしょう?」「聖書は分厚いし、難しい印象があります。聖書をどう読んだらいいのでしょう?」今回はこの質問に答えます。信仰生活のABCを学ぶバイブル・スタディ『信仰生活超入門』の第六課です。今回も上の動画をご覧になりながら、ご一緒に以下の質問に答えてください。

今回の質問は:

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📤「聖書を読んでもよくわかりません。聖書はどのように読めばいいのでしょうか?分厚いし、昔のイスラエルの歴史が、私の今の人生とどう関わりがあるのでしょうか?」
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聖書は神からのラブレターと言われます。聖書は、聖書についてこう書いています。

「聖書はすべて神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練のために有益です。神の人がすべての良い働きにふさわしく、十分に整えられた者となるためです。」2テモテ3:16,17

この「神の霊感による」ということばに注目してください。この「霊感」は、現代の日本語の表現とは少し違う意味で使われています。

神のことば

新約聖書は古代ギリシャ語で書かれています。その原語を直訳すると、この「霊感」は「神の息」と訳すことができます。神のいのちである「神の息」から、聖書のことばは発せられました。また「息」「風」は聖霊を表すので、聖霊なる神が特別に聖書著者に働いたことを表しています。

どう聖霊なる神ご自身が、実際に執筆した聖書著者たちに働いたのでしょうか。聖霊は、聖書著者に執筆の意欲を与え、取材活動を行わせ、全体の構想を導きました。ことばの推敲、執筆、編集に至る、すべての過程に神ご自身が働きかけ、導いた過程が「霊感」なのです。

確かに実際に文書にまとめたのは、約40人の聖書著者です。しかし背後で神の特別な働きかけがありました。だからこそ、聖書は神のことばだと言うことができます。聖書は他の書物とはまったく異なるものです。

聖書は確かに分厚いです。聖書は前半が旧約聖書、後半が新約聖書に分かれています。旧約・新約の「約」とは、契約・約束の意味の「約」です。前半の旧約聖書は39の書物。後半の新約聖書は27の書物が入った合本です。旧新約聖書は「神のことば全集」と言えるかもしれません。

主人公はイエス・キリスト

前半の旧約聖書は、全人類の罪の問題を解決する救世主「メシアが来るぞ」というメッセージが各所に散りばめられています。そして後半の新約聖書では、旧約聖書が語た「メシアがイエスだ」と立証しています。その意味で、聖書全体の主人公がイエス・キリストなのです。

では聖書は、私たちとどう関係があるのでしょう。聖書を読む意義とは何でしょうか?

前回、私たちは神に祈りを通して、私たちの思いを伝えることを学びました。では神は聖書を通して、人間に語りかけます。聖書が、私たちの生きる指針となります。

毎日の指針

日本の外交官、杉原千畝さんはナチスの迫害から逃げるユダヤ人にビザを発行した人でした。当時、ナチス・ドイツはユダヤ人の撲滅計画ホロコーストをヨーロッパ中で展開し、ユダヤ人を強制収容所で大量に虐殺していました。

杉原千畝さんご一家が、リトアニアの日本総領事館に赴任したのも、そのようなときでした。1940年7月のある朝、杉原千畝さんが目覚めると、100人ほどのユダヤ人の避難民が領事館前に並んでいました。彼らはナチスに追われて、東に向かうユダヤ人たちでした。どうしても日本のビザがほしいと杉原さんに懇願したのです。

杉原さんは2回、東京の外務省に問い合わせをしました。ユダヤ人にビザを出していいのか。東京からの答えは2回ともNOでした。

杉原さん夫妻はロシア正教のクリスチャンでした。毎朝、聖書を読み、祈る人でした。翌朝、一家で読んだ聖書箇所が旧約聖書の哀歌2:17でした。

「あなたの心を主の前に、水のように注ぎ出せ。あなたの幼子たちのいのちのために、主に向かって両手をあげよ。」哀歌2:17

「あなたの幼子たち」とは、領事館前に並ぶユダヤ人だと思い、夫婦で必死に祈りました。祈りの中で確信を得た幸子夫人が、千畝さんを説得。杉原千畝さんは本庁の命令に違反してでも、ビザを発給することを決断したのです。杉原千畝さんが手書きで書いたビザによって、5000人以上のユダヤ人の命が救われました。杉原夫妻を導いたのは、まさに聖書のことばです。

聖書は不思議ですが、現在でも私たちの人生を導きます。どう決断していいのか、わからないときに、神からの特別な指針が与えられます。聖書は生きる神のことばです。

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新約聖書テモテへの手紙第二3:16,17を読んで、以下の質問に答えてください。

「聖書はすべて神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練のために有益です。神の人がすべての良い働きにふさわしく、十分に整えられた者となるためです。」2テモテ3:16,17

①聖書はなぜ神のことばと言えるのでしょうか。


②聖書は、現代に私たちの人生にどんな意義があるのでしょうか。


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どのように聖書を読めば、神からのメッセージを受け取ることができるのでしょうか。ここで、聖書を正確に読み解く、簡単な方法を紹介します。実際に、どう聖書を学んだら良いのか、一緒にやってみましょう。

場所と時間

聖書を学ぶとき、集中して聖書に取り組める場所、時間も大切です。また学んだことを書き留めるノートがあると良いでしょう。皆さんのうちに住む聖霊に教えてもらう態度がとても大切です。まず、こう祈りましょう。

「神さま、あなたは聖書を通して語ってくださる神さまです。今、聖霊さま、あなたに聞く心を与えてください。神さまが集中力と、読む聖書箇所の理解力を与えてくださることを感謝します。どうか、今日あなたが目をとめさせてくれるところを発見できますように。イエスさまの名によって祈ります。アーメン。」

観察・解釈・適用

聖書を読む上で、次の3つのステップを踏んでみましょう。それは①観察②解釈③適用です。実際に聖書箇所を一緒に読んで、この3つのステップに取り組みます。まず、マタイの福音書7:24-27を読んでください。

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24 ですから、わたしのことばを聞いて、それを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人にたとえることができます。

25 雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家を襲っても、家は倒れませんでした。岩の上に土台が据えられていたからです。

26 また、わたしのこれらのことばを聞いて、それを行わない者はみな、砂の上に自分の家を建てた愚かな人にたとえることができます。

27 雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまいました。しかもその倒れ方はひどいものでした。(マタイ7:24-27)

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観察・解釈・適用

聖書を学ぶ3つのステップ。最初は観察でした。観察とはこの聖書本文に何が書いてあるのか、正確に理解することです。学校の国語の時間、現代文の時間にやったことです。以下の質問を考えていてください。

①登場人物はだれか?


②繰り返し出てくる言葉は?


③全体を自分のことばで言い換えてみてください。


✅観察・解釈・適用

聖書を学ぶ3つのステップ。次は解釈です。解釈とは、この聖書箇所の意味は何かを探ることです。次の2つの質問を考えると良いでしょう。

①神についてわかることは何ですか?


②人についてわかることは何ですか?


✅観察・解釈・適用

聖書を学ぶ3つのステップ。最初は観察。次は解釈です。最後は適用です。適用とは観察、解釈で学んだことを具体的に生活でどう実行するのかの計画を立てることです。

ここでぜひ注意してほしいのは、学んだことを適用するのは、自分に対してです。「この聖書箇所は、あの人にピッタリだから…」と他の人の人生に適用しないでください。あくまでも自分に適用してください。できれば具体的に、この数日で実行できることを考えてみてください。

①解釈した内容から、生活に実践できる可能性があることは何ですか?


②今日(または今週中)に実行できることは何ですか?


ディボーション・QT

ぜひ皆さんも、ぜひ今日学んだ聖書を学ぶ3つのステップ①観察②解釈③適用のステップを毎日の聖書を読む時間に実践してみてください。毎日短くても良いです。ぜひ毎日の祈りと聖書の時間、この時間を「ディボーション」または「QT(quiet time)」と呼びますが、持ち続けてください。

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●発展学習
この聖書の約束を一字一句間違えなく暗誦してください。

「聖書はすべて神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練のために有益です。」2テモテ3:16


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