神のみこころを知るには

あるとき、卒業生の一人が転職について、私に相談に来ました。「神が私の人生に何を望んでいるのか、どうしたらわかるのでしょうか。」

私は簡潔に、神のみこころを知る方法を伝えました。1時間ほどの説明で、長年求めていた神が与えた個人的な使命を、彼は発見することができたようです。彼がどんな仕事をするべきか、どんな会社で働くべきかも、明確にわかったようです。

神は人に理性を与えました。人は理性を用いて考えるように、創造されています。数ある情報から、何が神のみこころなのかを、人は「理性」を用いて判断します。就職、結婚、転勤、転職、転居……と人生の岐路と言える重大な決断をする上で、どう神のみこころを聴き、最善な選択をすることができるのでしょうか。本稿では、神のみこころを知る方法をお伝えします。

神は良いお方

イエスはこう語ります。「わたしが来たのは、羊たちがいのちを得るため、それも豊かに得るためです。」※1

神はあなたに充実した、意義深い人生を与えようとしています。しかし多くのクリスチャンが、自分の生きる意義を見い出せずに生きています。それは、神の導きが最善なものだと信じられないからです。

私たちの多くが、神について間違えた考えを持っています。ある人は、神は身勝手だと思っています。また神はすぐに怒りを爆発させる気難しい「独裁者」だと信じています。実の父親への恐怖をそのまま神に投影している人もいます。神を否定的に理解していると、神に信頼を置くことができなくなります。

神は良いお方です。神があなたを造り、あなたを愛しています。そして、あなたに最善な計画を持っています。神はこう約束しています。

「わたし自身、あなたのために立てている計画をよく知っている。…それはわざわいではなく、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるものだ。」※2

神がみこころを示す

私は長年、多くのクリスチャンの相談にのってきました。その相談の多くが「自分の人生に、神がどのような計画をもっているのか」というものでした。

私が気づいたことの一つに、神のみこころは劇的な啓示体験を通して与えられるはずだと、多くのクリスチャンが思い込んでいるところです。確かに神は劇的な方法で、私たちに語りかけることもあります。しかし神が劇的に語りかける場面は、稀です。

むしろ神は私たちの日常の中で、静かに語り掛けることが多いようです。日々のディボーションの中で、聖書のことばを読むときに、気づきが与えられることもあります。祈る中で、ふとある聖書箇所が心に思いうかぶこともあります。信頼できる人のアドバイスで特別な示唆を受けることもあります。日曜礼拝の牧師のメッセージで語られることもあるのです。

大切なことは、神ご自身がみこころを、あなたに示したいと願っていることです。神は、あなたの人生を最善の方向へと導きたいのです。「主は私の羊飼い。私は乏しいことがありません。主は私は緑の牧場に伏させ、いこいのみぎわに伴われます。」※3

私たちは、この神の語りかけに注意を払うべきです。使徒パウロもこう勧めます。「ですから、自分がどのように歩んでいるか、あなたがたは細かく注意を払いなさい。知恵のない者としてではなく、知恵のある者として、機会を十分に活かしなさい。悪い時代だからです。ですから、愚かにならないで、主のみこころは何であるかを悟りなさい。」※4

みこころを見わける

私たちクリスチャンは、神の語りかけを聞きわけることができます。イエスは語ります。「わたしの羊たちはわたしの声を聞き分けます。わたしもその羊たちを知っており、彼らはわたしについて来ます。」※5

それでは、神のみこころをどう見分けることができるのでしょうか。神は人に理性を与えました。使徒パウロはこう解説します。「神は私たちに、臆病の霊ではなく、力と愛と慎みの霊を与えてくださいました。」※6 

ここで書かれた「慎みの霊」とは、「バランスのとれた心、聖霊に導かれた心」を指しています。私たちがキリストに人生をゆだねるとき、きよめられた理性と、バランスがとれた信仰を持つことができます。

私たちは、神が語りかけた情報を集めて、この「慎みの霊」によって総合的に分析し、判断していく必要があるのです。本稿では、どのように神のみこころを、理性と信仰によって見わけていくのかをお伝えします。家の建築を例にご紹介します。

基礎

家には基礎があります。しっかりとした基礎の上に家を建てるなら、家は台風や震災にも、びくともしません。支持地盤まで到達した杭に、家の基礎が支えられているならば、建物の重さにも十分に耐えられます。

イエスもこう語っています。「ですから、わたしのこれらのことばを聞いて、それを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人にたとえることができます。雨が降って洪水が押し寄せ、風を吹いてその家を襲っても、家は倒れませんでした。岩の上に土台が据えられていたからです。」※7

クリスチャン生活の基礎とは、祈りと聖書を読む習慣にあります。この毎日のディボーションの時間を大切にしてください。聖書から学んだことを、毎日の生活で実践してください。また神は、毎日の生活で起こる出来事を、聖書のことばで解説してくれます。

「あなたのみことばは、私の足のともしび、私の道の光です。」※8

聖書が人生を照らします。聖書のことばを読み、実践するとき、信仰が成長します。毎日のディボーションの方法は、こちらの『毎日聖書』をお読みください。

また聖書通読、聖書の学び、礼拝での聖書メッセージを通して、いつも聖書のことばに触れる機会を作ってください。

聖霊の満たし

神のみことばを聞くだけではなく、実行することも大切です。しかし聖書のことばは、私たち自身の力では実行できません。聖書の約束に従う意欲も、実行する力も、聖霊が与えるものです。

日々、神に与えられた課題を実行して、神に栄光を帰する人生を送ってください。毎日の小さな課題に忠実になるとき、大きな課題を実行する力が身につきます。

私たちが神のみことばに従おうと決心して、一歩踏み出すとき、聖霊が力強く私たちの内側に働きます。これを「聖霊の満たし」と言います。聖霊とともに生きる秘訣は、こちらの『 クリスチャン生活の秘訣 』の記事をご覧ください。

神のみこころを知る上での基礎が、聖書のことばと聖霊に満たされた人生でした。この基礎の上に、どのように柱を据えれば良いのでしょうか。またどのような外壁、内装、屋根を装着したら良いのでしょう。

構造躯体

建物の基礎部分に、柱が建てられます。神のみこころを知る上での、建物の骨組み、構造躯体が聖書の約束です。

(1)聖書の約束

聖書は神のことばです。クリスチャンの信仰生活の規範です。神は聖書のことばを通して語ります。

「聖書はすべて神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練のために有益です。神の人がすべて良い働きにふさわしく、十分に整えられた者となるためです。」※9

毎日のディボーション、聖書通読の際に与えられる、みことばの約束に注意してください。特に祈ったあと、その答えとなる聖書の約束はないのか、注目してください。礼拝のメッセージで聞く聖書箇所。クリスチャンの友人と分かち合う中で、開いたみことばに注目してください。

特に感動を覚えた聖書の約束を、「聖書の約束ファイル」をつくり、そこに書き出してください。また今までの人生で語られた聖書の約束も、書きとめてください。神が今まで語ってきた約束のその延長線上に、次の進路が見えるはずです。

(2)人生の使命

「実に、私たちは神の作品であって、良い行いをするためにキリスト・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行いに歩めるように、その良い行いをあらかじめ備えてくださいました。」※10

人は一人ひとりにユニークな使命が与えられています。人はみな神の作品、傑作です。一人ひとり才能や得意分野は違います。今まで身につけた能力、技術も違います。性格も一人ひとり違います。与えられた聖霊の賜物も違います。

あなたのユニークな特徴は何でしょうか。あなたの特別な設計を知るとき、神があなたを用いる方向性を知ることができます。Student Impactではあなたの人生の使命を知るためのコーチングを行っています。もし関心がある方はこちらからご連絡ください。

(3)神の平安

神のみこころを知るとき、心に平安が与えられます。

「キリストの平和が、あなたがたの心を支配するようにしなさい。そのために、あなたがたも召されて一つのからだとなったのです。また、感謝の心を持つ人になりなさい。」※11

「何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。そうすれば、すべての理解を超えた神の平安があなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。」※12

聖書の約束を受けるとき、心は平安で満たされます。ただ心の平安とは、主観的なものです。神のみこころを知ったときに与えられる「副産物」です。必ず、与えられるというものではないのです。ときには神のみこころ自体が大きなチャレンジに感じられ、むしろ圧倒され、不安になることもあります。

心の平安があるかだけで、神のみこころなのかを判断せず、他の要素も見ながら、総合的に判断しましょう。

(4)聖霊の語りかけ

神はみこころを劇的に現されることもあります。初代教会の執事であったピリポは、サマリヤでの伝道で大きな成果を見ることができました。人間的に考えれば、ピリポはサマリヤでの働きを続けるべきでした。しかしピリポは、聖霊からの特別な啓示を受けたのです。

ピリポは聖霊の語りかけで、サマリヤを後にしました。ピリポはガザに向かう道の途中で、エチオピア政府の高官に出会うのです。ピリポの伝道によって、宦官は救われました。伝承によると、宦官はエチオピア全土に福音が伝えます。

聖霊からの直接的な語りかけにも、注意を向けてください。同時に神は、必ず聖書で解説をし、バックアップしてくれます。今起こっている出来事を、聖書の約束で解釈してください。

(5)祈りの答え

神はあなたの心に、特別な願いや導きを与えます。あなたの心の中の願いやビジョンをもとに祈ることも、神のみこころを知る上で、大きな手がかりとなります。

「主を自らの喜びとせよ。主はあなたの心の願いをかなえてくださる。」※13

神はあなたに今よりも、さらに良い条件で働くように導いているのかもしれません。さらに大きな影響力を与える仕事を用意しているかもしれません。

新聞社の社会部で記者として働く卒業生がいました。警察記者クラブの一員として、記事となる情報を聞き出し、記事を書いていました。仕事としてはやりがいがあります。

しかし社会部記者は事件が起こると、朝夕関係なく呼び出されます。夜遅くまで、取材対象に張り付かなければなりません。日々のディボーションも、日曜の教会生活も集中できません。結婚して、家庭での時間も取れない状況でした。毎日の忙しさの中で、神に余裕がある部署への異動を祈っていました。

そんなとき、文化部への異動の打診がありました。文化部では、十分に時間をとって取材もできます。聖書的な価値観をもとに分析して、社会に影響を与える記事を書くこともできます。昼夜関係なく呼び出されることはなくなりました。家事も十分にこなし、教会で奉仕もできるようになりました。

個人の願いに関して、一つ大切な前提があります。それはあなたの生涯が、完全にイエスに献げられている必要があるということです。自分の願いがあっても、神が語ったことがあるならば、神の語りかけを優先して実行したいという心が必要です。

(6)超自然的な導き

使徒10章では、ローマの百人隊長コルネリウスの改心の場面が出てきます。コルネリウスが午後3時の祈りのとき、幻を見ます。御使いが現れ、ヨッパの皮なめし職人の家に泊まるペテロを呼んでくるように語ります。コルネリウスは早速、使いをヨッパに向かわせます。

コルネリウスの使いがちょうど、ペテロのところに到着しようとしていたときのことです。ペテロは家の屋上で幻を見ます。空から敷布が降りてきて、中に汚れた動物がいました。「ペテロよ。ほふって食べなさい」と声を聞きます。同じ幻を3回見たとき、コルネリウスの使いがペテロを訪ねてやってきていました。

そこでペテロは使いと一緒にコルネリウスのところに行き、福音を伝えます。コルネリウスと家族は、ペテロが語る福音でイエスを信じました。

現在も、神は超自然的な導きを行う方です。同時に、神は必ず聖書からその出来事を解説し、バックアップしてくれます。みこころを知る要素、全体を見て、総合的に判断してください。

壁・内装

神が語る(1)から(6)までの要素は、建物の骨格部分でした。構造躯体はとても大切な要素ですが、少し主観的要素が強いものです。次に紹介する4つの要素は、前述の6つの構造体に客観性を与えるものです。建物で言うと、外壁、断熱材、内装部分に当たります。家の住民に快適な住環境を提供するものです。

(7)関連した情報収集

関連した情報を集めましょう。就職活動では業界研究、企業研究に当たります。就職活動では、自分が働きたい業界を、過去の新聞記事から調べます。四季報で会社の財務状況を知り、ネットで顧客満足度を調べます。OBOGとアポイントをとり、実際に働く方の声を聞きます。

具体的な情報を集めるとともに、聖書的原則も調べてください。結婚に関する決断ならば、聖書が語る結婚・子育ての原則も学びましょう。就職ならば、「働く」「仕える」など、仕事に関する全般的なテーマを聖書から学びましょう。

決断をする上で、時間的な制約があることも事実です。今、集められる情報だけで構いません。集めた情報が、例えば個人的な使命に合うのか。今まで読んだ聖書の約束に合致するのか。神の導きと合うものかを判断します。

(8)人の助言

信頼できる人、成熟した人の助言はとても助かります。「指導がないことで民は倒れ、多くの助言者によって救いを得る。」※14 「よく相談しなければ、計画は倒れる。多くの助言者によって、それは成功する。」※15

自分の視点では見えない盲点を、第三者の視点で明らかになります。客観的にあなたの状況を判断し、適切な助言をくれる友人の存在はありがたいものです。ぜひ、率直な助言をもらえる信仰の友との関係を大切にしてください。

教会の牧師、両親、信頼できる上司、大学の先生と、あなたより少し先に進んでいる人の助言を聞くことも大切です。同じバイブル・スタディの仲間に祈ってもらうようにしましょう。

ただあなたの最終決断を、人の助言に丸投げしてはいけません。人の助言も神のみこころを判断する上では、一つの要素に過ぎません。私たちが心に留めるべきことは、最終的に信頼できる方が、神であるということです。

「心を尽くして主に拠り頼め。自分の悟りに頼るな。あなたの行く道すべてにおいて、主を知れ。主があなたの進む道をまっすぐにされる。」※16

人の助言も、神のみこころを知る一つの要素です。ぜひ他の要素と併せて、総合的に判断してください。

(9)配偶者との一致

もしあなたが結婚をしていたら、神はあなたの配偶者にも同じように語るはずです。あなたの決断は、家庭生活全体に大きな影響を与えます。ぜひ決断の前に、配偶者や家族のメンバーに相談しましょう。家族全体で一つの心で、決断できることは大きな祝福です。

(10)神の主権

神は、あなたが進むべき道の扉を開いてくれます。今の置かれた状況で、神がすでに働きを始めている場所はどこでしょう。神が導いている場所に身を置くことが大切です。

あるとき、大学4年生の男子学生が、私のところに相談に来ました。彼は就職活動の真っ只中で、就職先の候補の一つに私たち Student Impact を考えていたのです。

Student Impact のスタッフになることが神のみこころだと主張する、彼に質問しました。「なぜ、神のみこころだと言えるんですか?」

彼はこう答えました。「みこころでない扉を、神が閉ざします。この数ヶ月、就職活動をやって、多くの会社の選考と面接を受けてきました。結局、どの会社からも内定はもらえず、今残っている可能性は Student Impact だけです。」

これは極端な例ですが、ただ就職活動を続けたくないから、Student Impact のスタッフに逃げているようにしか思えませんでした。

でも、誤解しないでください。確かに、神が進むべき進路を閉ざすときもあるのです。パウロも使徒16:6-11で、当初エペソに行く予定でした。しかし、その道が閉ざされました。パウロ一行はトロアスに進路を変え、エーゲ海を渡り、ヨーロッパ大陸に上陸して、ピリピで福音を伝えることになるのです。

ちょっと試して上手く行かなかっただけで、「神が扉を閉ざした」と考えてしまうことは問題です。神のみこころを知るとき、関連あるすべての要素を総合的に、注意深く検討するべきです。ただ偶然、目の前にあることに手を出し、ちょっと試して上手く行かなかったため、すべてを諦めてしまうことを繰り返さないでください。

神は人に理性を与えました。聖霊の導きの中で、あなたの理性を活用せず、目の前の状況だけで判断することは、聖書的ではありません。

屋根

建物には屋根が不可欠です。屋根はどんな大風にも飛ばされない強固な構造体である必要があります。同時に、雨漏りしない防水性も問われます。夏の強い日差しを遮り、冬は室内の暖かさを逃さない断熱性能も問われます。

建物の基礎、構造躯体、壁全体で、屋根を支えるように設計されています。今まで見た9つの神が語る要素を「聖書の約束ファイル」に書き出してみてください。

(1)神のことば
(2)人生の使命
(3)神の平安
(4)聖霊の語りかけ
(5)祈りの答え
(6)超自然的な導き
(7)関連した情報
(8)助言
(9)配偶者との一致
(10)神の主権

この「聖書の約束ファイル」全体を総合的に判断してください。その中で一致するところはないでしょうか。共通部分を探すのです。

総合的な判断

医師が病名を診断する際、さまざまな検査の結果を照合します。まず問診をして、患者の話をよく聞きます。聴診器、血圧を測ります。血液検査、尿検査をして、ある程度の見立てをたてます。その見立てを実証するため、レントゲン、MRT、必要ならば内視鏡と検査を進めます。検査の結果をもとに可能性を絞りながら、検査結果が同じ方向を指し示すところで、病名を診断します。

今まで出てきた膨大な情報をまず、「聖書の約束ファイル」に書き出し、整理してみてください。大切なことは、一つか二つの要素で判断せず、全体像を見て、総合的に判断することです。

ちょうど悪天候の中、空港に着陸する旅客機のようなものです。飛行機は、衛星からの位置情報とともに、滑走路の先端から発せられる二種類の無線電波に基づいて、降下します。一つの電波は、滑走路に対して飛行機の飛ぶ位置が左右にどれだけズレているのかを示します。もう一つは、着陸の過程で適切な高度を維持しているのかを表す無線電波です。

これら3つの情報と飛行計器が示すデータを総合的に判断する中で、視界が不良な中でも飛行機は無事に、滑走路まで辿り着くことができるのです。

敵も語る

しかし、神のみこころを見極める上で、もう一つ重要な注意点があります。神のみこころを判断する際、悪魔が絶えず「妨害電波」を発しているということです。

聖書から神の約束を受ける経験が少ないと、「暗闇の世界の支配者」のささやきも、神からの導きだと誤解する危険性があります。サタンと悪霊たちも奇跡やしるしを行い、「光の御使い」を装うことがあるのです。サタンは、偽ることにかけては天才的です。

悪魔の「妨害電波」を見破る上で、毎日のディボーションによる訓練がとても重要です。日々、ディボーションで神の約束を聞き取り、実行する経験を積み重ねてください。

悪魔の声に対抗する方法は、『 悪魔に耳を傾けない 』の記事をご覧ください。

健全な理性を用いる

すべてのクリスチャンは、神が与えた時間、才能、財産の良い管理者でなければなりません。自分の時間、才能、財産を、単なる伝統や習慣、一時的な感情で決定してはいけません。

神があなたに与えた時間、才能、財産をどう用いるのか、「力と愛と慎み」の霊、すなわち健全で理性によって、判断してください。この原則は大学生にも、社会人でも、どんな年齢層の方にでも適用できるものです。

神が語った約束を書き記した「聖書の約束ファイル」をもう一度、見直してみてください。この「ファイル」の中で共通点を探してください。その中で、選択しうる選択肢を数個、選んでください。そして一番合理的だと判断できる選択肢を選んでください。その判断が、神のみこころを見つける上で大きな助けになるはずです。

「プロ・コン」リスト

いくつかの選択肢が出てきた段階で「プロ・コン」リストを作ってください。「プロ・コン」リストとは、それぞれのプラス面(プロ)とマイナス面(コン)を一つの表に書き記したものです。

「プロ・コン」リストの一例

A社製造業(プラス面) A社(マイナス面) B社運輸業(プラス面) B社(マイナス面)
製品が社会全体をよくしていく上で貢献している。   人や貨物を輸送することで、社会全体に貢献している。 以前、事故を起こしたこともあった。
完全週休2日。教会や卒業生ミニストリーでも奉仕もできる。ライフワークバランス。 お酒の席での接待がある。転勤の可能性。 福利厚生面では優れている。堅実に人々に仕えることができる。 日曜も仕事。日曜以外で礼拝をする教会を探す必要がある。通勤に1時間半。引越も要検討
社内の人間関係やチーム意識が高いので、誠実に仕えることで、同僚に証しができる可能性。 顧客も企業相手なので、決まった顧客を営業する仕事。多くの人に接するより、各顧客に丁寧に接する必要がある。 多くのお客様に接する機会がある。 一緒に働くチームは絶えず変わるので、同僚に福音を伝えるのは知恵が必要かもしれない。
堅実な仕事、給与も良い 知名度は低いが、着実に仕事をする会社 とても興味や関心がある分野の仕事。東証一部上場企業 理不尽なクレーム対応も多いと聞く。


「プロ・コン」リストを作る上で、以下の3つの質問を問いかけてみてください。特にこの質問の答えとともに、与えられた聖書の約束も書き出してみてください。

① 神の栄光を現しているか?

この選択は、自分の名誉や地位、利益のためのものでしょうか。それとも、神の栄光を現すものでしょうか。この選択をした結果、人々は神の栄光を見るでしょうか。

「こういうわけで、あなたがたは、食べるにも飲むにも、何をするにも、すべて神の栄光を現すためにしなさい。」※17

私たちの選択した行動を見て、人々が神のすばらしさを体験し、神を礼拝するようになったのなら、これほどすばらしいことはありません。

② 神の国を前進させるのに役立つものか?

この選択が、神の国の前進に役立つものでしょうか。神はこの世界に、神のすばらしさが反映されることを願っています。この世界は、人の罪のゆえに堕落し、不条理が横行しています。クリスチャンを通して、神はこの世界に神の国と神の義がもたらされることを願っています。

「神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはすべて、それに加えて与えられます。」※18

「人よ、何が良いことなのか、主があなたに何を求めておられるのかを。それは、ただ公正を行い、誠実を愛し、へりくだって、あなたの神とともに歩むことではないか。」※19

この世界で公正と誠実に生き、神とどう歩んでいけば良いのでしょうか。ぜひ神のみこころを求めるときに、この質問も考慮にいれてみてください。

③ 人の救いにつながるものか?

この選択が、どう失われた人々をキリストのもとに導くことにつながるのかも、ぜひ考えてみてください。

「ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。父、子、聖霊の名において彼らにバプテスマを授け、わたしがあなたがたに命じておいた、すべてのことを守るように教えなさい。見よ。わたしが世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいます。」※19

人生の選択をするとき、ぜひクリスチャンとして、どう人々の救いに貢献できるのか。どう周囲のクリスチャンの信仰の成長の助けになれるのかも、考慮してください。神はあなたを人々の救いのために、この世界に派遣したいと願っています。

信仰をもって行動する

「プロ・コン」リストで一番合理的だと思える判断が、神のみこころである可能性が高いです。合理的だと判断した選択肢を選び、一歩踏み出してみましょう。

もしかすると、神のみこころを読み違える可能性もあります。しかし父なる神は、子である私たちに、取り返しがつかない失敗をさせるまで、放っておくことはありません。

みこころではないのではと感じるときは、一度立ちどまりましょう。「聖書の約束ファイル」をもう一度、見直しましょう。また「プロ・コン」リストを作り直しましょう。そして、新しい方向に進みましょう。

停車した自動車のハンドルをどんなに回しても、方向転換はできません。車が運転中ならハンドルを回すだけで、容易に方向転換できます。むしろ信仰によって動き出すとき、方向転換は簡単にできるものです。

試練もある…

しかし一点、ここでも注意してほしいことがあります。神のみこころを実行するとき、困難にぶつかることもあります。試練に直面しただけで、「この選択は神のみこころではなかった…」と決めつけないでください。

大きな試練のあと、神は大きな祝福を備えています。財政的な必要、病気、仲間からの反対、批判と、多くの困難が私たちを襲います。そのような試練の中で、私たちは神への従順を学ぶのです。

試練の中で、高ぶりや傲慢さを捨て、へりくだって神だけを頼れるようになります。試練の中で、私たちの心が整えられるのです。困難の中で、神に感謝し続けてください。神の真実さを信じ続けてください。

イエスも十字架上で、一見、サタンに完敗したように見えました。しかしその死の3日後、イエスは復活の勝利を体験するのです。試練の向こう側に、神の祝福が用意されています。

就職活動

最後に、大学生の皆さんが就職活動を行う際、この神のみこころを見出す方法をどう使うと良いのかを提案します。

就職活動が始まると、考える暇もないほど、忙しくなります。事前に「仕事」について、「働くこと」「仕えること」を聖書から学んでおくと良いでしょう。就活のための「聖書の約束ファイル」を作り、聖書から学んだことを書きとめてください。

あなた自身の賜物、特性、人生の使命も、事前にセミナーやコーチングを受けることで、まとめておくと良いでしょう。毎日のディボーション、聖書通読で与えられた、聖書の約束も「聖書の約束ファイル」に書き込んでください。

選考が進むにつれて、内定が出ます。内定をもらった時点で、その会社の「プロ・コン」リストを作ってください。会社のプラス面、マイナス面を書き出します。するとマイナスに思えた部分も、実はプラス部分で補えることもわかります。プラスに思えることも、実はプラスではないこともわかるかもしれません。書き出すことで、冷静になれます。その会社に就職するべきかが、理性的にわかってきます。

内定をもらった複数の会社を「プロ・コン」リストで見比べて、理性的に考えて、合理的だと判断した会社を選んでください。

大学生の皆さんは、大学時代、毎日のディボーションの習慣を身につけてください。だれにでも、どんな場面でも、福音を紹介する方法も学んでください。地域や教会を越えた同世代のクリスチャンの友だちをつくってください。就職後、ただでさえクリスチャンが少ない日本です。イキイキとした信仰に生きるため、心から祈り、励まし合える関係は大変貴重なものです。

人生の岐路に立つときに

いかがだったでしょうか。皆さんの人生の岐路で、この神のみこころを見つける方法を用いて、神が願う人生を踏み出すことを願っています。

ぜひこの理性を用いた神のみこころの判断基準を、生活に適用してみてください。あなたの時間、財産、才能をどう用いるのか、この原則に従って決定してください。皆さんが神のみこころにかなった決断ができるように、お祈りしています。

脚注:(1) ヨハネ10:10 (2) エレミヤ29:11 (3) 詩篇23:1-2 (4) エペソ5:15-20 (5) ヨハネ10:27 (6) 2テモテ1:7 (7) マタイ7:24,25 (8) 詩篇119:105 (9) 2テモテ3:16,17 (10) エペソ2:10 (11) コロサイ3:15 (12) ピリピ4:6,7 (13) 詩篇37:4 (14) 箴言11:14 (15) 箴言15:22(16) 箴言3:5,6 (17) 1コリント5:9 (18) マタイ6:33 (19) ミカ6:8 (20) マタイ28:19,20