献金の聖書的意義
あなたにとって冒険とは何でしょうか?
急流を下るリバー・ラフティングはどうでしょうか。飛行機からパラシュートを背負って飛び降りるスカイダイビングはどうでしょうか。アルプスの断崖絶壁をロッククライミングで登ることでしょうか。渓谷に架かる橋からのバンジージャンプはどうでしょうか。
神に信頼して、献金をささげることも信仰生活の「冒険」だと言うことができます。献金によって、ワクワクする信仰生活の「冒険」を体験する方法をご紹介します。
献金は冒険
まず、献金は冒険であることを発見をした、ある女性の体験談です。
デボラは宣教師でした。ちょうど宣教地から帰国したばかりの頃、近所に住む家庭の子どもが大きなケガを負いました。その家庭は健康保険に加入しておらず、息子の治療が経済的に大きな負担となっていました。
デボラは家族の緊急の必要を覚えて祈りました。「神さま、あなたは何を私に願っていますか。」
するとその家族を経済的に支援するように、神は願っていると、デボラは感じました。自分の銀行口座を調べると、預金残高はわずか200ドルだけでした。
デボラは祈ります。「神さま、25ドルをこの家族に手渡すのは、どうでしょう。」残りの175ドルがあれば、デボラ自身も月末まで、何とか乗り切れることができると思ったからです。
しかし、静かに神の答えを待っていると「いや、100ドルをささげなさい」と神が語っているように感じたのです。
神の語りかけに息がつまりそうでした。「100ドルは、今持つ全財産の半分です。」
神と祈りの中で押し問答を続けるうちに、100ドル以下では、デボラは心に安らぎを感じられなくなりました。
ついに彼女は小切手に100ドルと書き、サインをします。そして祈りました。「神さま、私はあなたの言う通りにしました。あと2週間の私の生活も、あなたが全面的に面倒をみてください。」
デボラは喜びと期待を胸に、小切手をその家族に手渡しました。デボラは100ドルを支援することで、その家族を励ますことができたのです。同時にデボラ自身も、神からの豊かな祝福を受けたのです。
その2日後のことです。100ドルの小切手が、デボラに郵送されてきました。その3日後には、別の女性がデボラの必要のために、200ドルを献金してくれたのです。
デボラはこう語ります。「5日以内に、思いがけないところから合計500ドルが届きました。私は神のみわざに驚かされています。」
デボラをはじめ多くのクリスチャンが、神のこの献金と祝福の原則に従うことを学んできました。ぜひ、あなたも信仰によって献金をささげる、この大いなる「冒険」を体験してください。
どのような冒険でも、冒険を始める前には、相応の準備が必要です。献金をささげる「冒険」のためにも、準備が必要です。
スチュワードシップ
この冒険を始める上で、まず神の管理方法とその意味を理解することが大切です。神の管理方法を「スチュワードシップ Stewardship」と言います。
「スチュワード Steward」とは、大邸宅で全財産を任された「執事」「侍従長」のことです。「スチュワードシップ」とは、神があなたに委ねた資産を忠実に管理することです。
「執事」ということばには、新約聖書では2つの異なる意味があります。一つは家の子どもの教育係、後見人のことです。もう一つは、家の財産を主人の全面的な信任のもと管理する役割です。主人の家庭での責任を全面的に負う役割でもあります。どちらの意味でも「執事」は主人の家庭や財産を適切に監督することが、その役割です。
「スチュワードシップ」の大切さはいくら強調してもし過ぎることはありません。神が私たちに委ねた資産をどう管理するのかが、献金生活の基盤となるからです。
私たちが所有する財産は、神が恵みによって私たちにその管理を委ねたものです。神は私たちの手に神の所有物を委ね、管理させました。あなたが神が委ねたものをどのように管理するのか、あなたにはその責任があるのです。
このスチュワードシップの視点は、私たちクリスチャンの生きる「使命」を理解する上で大いに役立ちます。私たちは、自分の時間、才能、そして所有物を賢く投資することで、神に栄光を帰することができるのです。
イエスは、失われた人を捜し救うために、この地上に来ました。私たちがこの世代で大宣教命令成就の一助になることで、主イエスの使命を継承していくのです。
あなたは、所有物を賢く神の国のために投資し、キリストのために大きな収穫を刈り取るのです。聖書的な献金生活を知り、あなたの人生で神の使命が達成されることを願っているのです。
忠実さ
「忠実さ」もまた、冒険に満ちた献金生活のために必要な資質です。使徒パウロはこう語っています。
「人は、私たちをキリストのしもべ、神の奥義の管理者と考えるべきです。その場合、管理者に要求されるのは、忠実だと認められることです。」※1
「忠実さ」から、主人の信頼を得ることができます。神があなたに任せたことを、毎日着実に実行していくのです。
主人が信頼する執事とは、その機会を見極め、委ねられたものから最善の結果を生み出すように、最善の投資ができる人です。
神の心を受け継ぐ
献金をするとき、私たちの心の態度が大切です。パウロはこう語ります。
「私が伝えたいことは、こうです。わずかだけ蒔く者はわずかだけ刈り入れ、豊かに蒔く者は豊かに刈り入れます。一人ひとり、いやいやながらでなく、強いられてでもなく、心で決めたとおりにしなさい。神は喜んで与える人を愛してくださるのです。」※2
ここで「喜んで」と訳された単語のギリシア語原語は 「ἱλαρός ヒラロス」です。この単語は「陽気」とも訳せる言葉です。
聖霊に導かれた管理者は、期待と興奮、喜びと賞賛、さらに笑顔で献金をささげる人です。神はそのような「陽気な」献金者を高く評価されます。その人は献金をささげるというワクワクする冒険を発見したからです。
責任を自覚する
管理者としての責務の一つは、イエスの福音を伝えることです。この神の愛とゆるしのメッセージを語ることは特権です。
神はすべてのクリスチャンに「あらゆる国の人々を弟子としなさい」と命令しました。教会はこの命令を、伝統的に「大宣教命令」と呼んできました。
もしすべてのクリスチャンが、時間や才能、財産の管理に関して神の命令に忠実に従うなら、莫大な額の献金を神の国のために投資することができるのです。それらの献金により、何十億もの人々が福音を聞くことができます。この世代で大宣教命令成就の一助となるのです。
マタイ6:21にはこうあります。「あなたの宝があるところ、そこにあなたの心もあるのです。」
.クリスチャンの霊的生活は、あなたが何を大切にしているのかを見ればわかります。どれだけ忠実にスチュワードシップ(管理)の責任を果たしているかは、あなたの霊的状況を示すバロメーターです。
あなたの時間や才能、財産の使い方が、あなたの神への献身度を表しています。なぜなら、心で一番価値があると感じるものに、私たちの大切なものを投資するからです。
神の豊かな祝福を味わう
信仰によって献金をささげることは、心をワクワクさせる特権でもあります。献金を通して、あなたは神を礼拝し、賛美することになります。
献金をささげるときに、神はあなたに喜びを与えます。献金は、あなたのクリスチャン生活を刺激的な冒険へと変えてくれます。あなたもこの献金の体験を味わってみませんか。
あなたが忠実に財産を管理するとき、神の豊かな祝福を味わうことができます。ここでは神の祝福を味わう6つのステップを紹介しましょう。
1.私の所有物はすべて神のもの
あなたの所有物はすべて、神の恵みによる贈り物として、神があなたに与えたものです。本来、すべては神のものです。
詩篇24:1にはこう書かれています。「地とそこに満ちているもの、世界とその中に住んでいるもの、それは主のもの。」
私たちが持つすべてのものの所有権は、神にあります。神の所有権は永遠のものであり、不滅です。神はご自身が持つ所有権を、決して手放してはいないのです。
私たちクリスチャンは、神の所有物の管理人(執事)に過ぎません。「私たちは神の中に生き、動き、存在している」※3 ことをよく理解しなければなりません。
イエス・キリストが、私たちを創造しました。そしてイエスの尊い血で、私たちは買い取られています。神はイエスに油を注ぎ、私たちの「主」としたのです。
だから私たちのすべては、イエスのものです。私たちの人格、影響力、財産のすべても、イエスのものです。私たちの業績や成功、報酬さえも、主イエスに属するものなのです。
神は時間、才能、財産も、私たちに委ねています。私たちが自分の人生で、神のみこころを実行するためです。忠実な管理人として、神から受けたこの祝福をよく管理し、神に最大限の栄光を帰していく責任が、私たちにはあるのです。
2.受けるよりも与えるほうが幸い
使徒の働きには、イエスが語った次のことばが記録されています。「受けるよりも与えるほうが幸いである。」※4
私がイエスのこのことばを初めて聞いたのは、少年時代のことでした。次に聞いた中高時代の私は、信仰から離れていました。3回目に聞いたのは、私が再びイエスを信じる決心して間もないときでした。当時「受けるよりも与えるほうが幸いである」と聞いても、その意味を十分に理解することができませんでした。
その後、クリスチャンとして歩み、長い年月を経った今では、この聖書の約束を自らの体験として理解できるようになりました。また周りのクリスチャンからも、同じような体験の証しを聞いています。
献金をするとき、豊かな神の祝福も体験できます。キリストに従って、あなたが今所有しているものを思い切って、神にささげてみてください。神はささげた以上に、あなたの今の必要を豊かに満たしてくれます。
この約束は、あなたが今、裕福であっても、経済的に困難であっても、同じように実現します。あなたが先進国にいても、貧困に苦しむ発展途上国で神に仕えていようと、この神の約束は同じように成就します。使徒パウロはこう語っています。
「私が伝えたいことは、こうです。わずかだけ蒔く者はわずかだけ刈り入れ、豊かに蒔く者は豊かに刈り入れます。一人ひとり、いやいやながらでなく、強いられてでもなく、心で決めたとおりにしなさい。神は喜んで与える人を愛してくださるのです。神はあなたがたに、あらゆる恵みをあふれるばかりに与えることがおできになります。あなたがたが、いつもすべてのことに満ち足りて、すべての良いわざにあふれるようになるためです。」※5
祝福の連鎖
春には、神が農家に蒔く種を与えます。秋に豊かな収穫を与えるのも神です。同じ神が、あなたに種を備えて、多くの種を蒔くように導きます。蒔いた種を生長させ、何十倍もの実を収穫させるのも神です。その収穫した実から、さらに多くの種まきができるように、神は導いているのです。
そうです。神はあなたにも多くの祝福を与えてくれました。それは今後はあなたが、多くの祝福を人に与えるようになるためです。
あなたの献金がそれを必要とする人に届くと、今度は献金を受け取った人々が神に感謝と賛美をささげるようになるのです。
しかしクリスチャンの多くは、神に献金をすることの意義を学んではいません。献金することに関する神の約束を現実のこととして、まだ体験していないのです。
そのため、多くの人々は自分の必要はまだ満たされていないと感じています。献金をするとき、さらに多くを受けるという神の約束を、いまだに体験していないからです。
あなたがささげた献金が、受ける祝福を下回ることはありません。霊的収支が「元本割れ」をするということはあり得ません。あなたが神にささげた献金額を遥かに上回る祝福を、神が返してくれるというのが、聖書の法則です。
聖書はみな、神の霊感によって書かれたものです。聖書の約束は普遍的です。今もその通りに実行されます。神の祝福の原則は、億万長者や有名人に対するものではないのです。神に従い、聖書の約束に従うすべてのクリスチャンに対するものです。
献金をささげることで、喜びの連鎖が広がります。神は与え、あなたは祝福を受け取ります。その祝福の一部を再び、あなたがささげて、神が受け取ります。神はさらに祝福を倍増させて、あなたに返してくれます。
大切ことは、この祝福の連鎖を始めるのが神であるということです。その目的は、ただあなたの献金に報いを与えるためだけではないのです。祝福が次の祝福をもたらすことで、世界中にこの祝福の連鎖が完成されていくことです。
全世界・全宇宙の富のすべてが、神のものです。私たちが持つものは、神から委ねられた祝福に過ぎません。でもその祝福の一部でも、喜んで分け与える人は何と少ないことでしょう。
しかしだれか一人でも分け与えるならば、神はその人に豊かな祝福を与えます。そして、その人にもさらに他の人に、祝福を分け与えるように促すのです。
もし私たちが献金することを拒むなら、神は祝福を流すことができる他のだれかを探します。箴言にはこう書かれています。
「気前よく施して、なお富む人があり、正当な支払いを惜しんで、かえって乏しくなる者がある。おおらかな人は豊かにされ、他人を潤す人は自分も潤される。」※6
倍増する祝福
私の親友ドン・プレストンは、自分では普通の人だと語っています。ドンは高校入学後、近所の食料品店で初めてのアルバイトを始めました。アルバイトを始めた当初から、ドンは給与の10%を主の働きのために献金しました。その後も、ドンは懸命に働き、神がドンの人生を豊かに祝福しました。
ドンは若くして結婚。妻との間に、3人の子どもが与えられました。スーパーマーケットの精肉部門を11年間働いたあと、29歳のときに独立。精肉の卸売・小売業を始めました。起業した最初の年の年商6,000ドルでした。そのうち15%を献金することを、ドンと家族は相談をして決めました。
ドンの精肉会社の収入は毎年、着実に増加しました。最初の年は6,000ドルだった収入が、翌年には年商21,000ドルに成長。3年目は37,000ドル、4年目は62,000ドル、5年目は85,000ドル、6年目には年商100,000ドルになりました。
ドンは語ります。「15年後、食肉事業を他の会社に売却。売却した資産で、別の事業に投資しました。そして2年間、自費でアメリカ国内で宣教活動を行いました。」
「海外宣教の必要を知ったのも、その頃のことです。海外では現地人の伝道者が福音を伝える方が効果的です。専任で働く現地人伝道者の家庭を支えるのは、私たちの家族がアメリカで生活する生活費に比べて、少額で済みます。ある国では月100ドルで、伝道者の家族を支えることができるのです。」
「私は考えました。もう一度、会社を再開したら、もっと多くの海外の現地人伝道者の家族をささえることができます。その方が、私が海外で福音を伝えるよりも、50倍から100倍の成果を生み出すことができます。毎年、5万ドルを献金すれば、20年間で100万ドルを世界宣教に投資することができるのです。」
ドンはキャンパス・クルセードの専任スタッフになる計画をやめました。代わりに20年間、伝道者をサポートするために、会社経営することを決心しました。ドンはその後、彼の息子と一緒に、サウスカロライナ州のグリーンビルで精密機械を製造する会社を始めました。
ドンは家族の深い理解のもと、収入の50%を福音宣教のために献金しました。そして残りのうちの33%は、税金として納付し、地域社会の福祉に役立てました。家族の生活は残りのお金で、慎ましい生活を維持しました。
神のわざは、ドンの想像をはるかに越える祝福でした。ドンは10年間で、彼が約束した通り、総額100万ドルを献金しました。彼の献金の大部分は、まだ福音を聞いたことがない数百万人に福音を届ける働き「ニューライフ2000」のために用いられました。
ドンの最初の妻バージニアは1987年に、亡くなりました。そして今では、再婚した妻のジャンヌとともに宣教のため、総額200万ドルを献金することを祈っています。ドンはまた、100人以上のクリスチャン事業家に献金を通して神の国に投資する恵みを勧めていきたいと願い、機会を祈っています。
「気前よく施して、なお富む人があり、正当な支払いを惜しんで、かえって乏しくなる者がある。おおらかな人は豊かにされ、他人を潤す人は自分も潤される。」※7
この箴言11:24, 25の神の約束は、すべてのクリスチャンに語られたものです。あなたが経済的に余裕があっても、逆に余裕がなくても、献金する恵みにあずかることができるのです。
あなたが献金をささげることで、神からの祝福を受けることができます。神から祝福を受けると、さらにあなたは神に献金をささげることができるのです。
神はあなたの心を知っています。神の祝福を受けることで、あなたはさらに献金をする人となることを、神は願っています。
神の祝福とは
ここで、一言だけ忠告させてください。献金して、神がすぐにあなたに経済的な祝福を返さなくてもがっかりしないでください。神の祝福の可能性は、無限にあるからです。神はあなたに、別の計画を持っているかもしれません。
神はあなたの本当の必要を知っています。神があなたの人生で最高の働きができるように、神に自由に働いてもらえる余地をつくらなければなりません。
もしかすると神は、あなたの健康状態を回復させ、仕事をする力を与えるかもしれません。神の祝福は、さらに給与が良い仕事へとあなたを導くことかもしれません。現在の収入でもさらに良い暮らしができるように、不要な支出を抑えるように導くことかもしれません。あるいは、今持つものに満足し、より充実した人生を送れるように教えているのかもしれません。
パウロもこのように断言しています。
「私は、貧しくあることも知っており、富むことも知っています。満ち足りることにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、ありとあらゆる境遇に対処する秘訣を心得ています。私を強くしてくださる方によって、私はどんなことでもできるのです。」※8
クリスチャンの多くが、祝福の意味を誤解しています。ここでパウロが語るように、旧約聖書のヨブも繁栄と困窮の両方を経験した人でした。
神があなたの必要を満たします。あなたは、神が与えた生活水準で生活し、神に委ねられたものの中から献金をします。これこそが真の繁栄です。
3.信仰によってささげる
信仰による献金を簡単に定義するならば、神のことばを信じて、神の真実さに期待して、惜しみなくささげることです。
信仰によって献金するために、三つの前提があります。第一の前提は、神があなたの必要のすべてを与える方であることを信じることです。第二の前提は、献金するお金も神が与えてくれたものであることを受け入れることです。第三の前提は、あなたの必要が満たされるように、神は無尽蔵な資産から祝福が与えます。神が祝福を与える根拠は、イエス・キリストにあることを信じるのです。
使徒パウロは、ピリピ教会に宛てた手紙の中で、このように語っています。
「また、私の神は、キリスト・イエスの栄光のうちにあるご自分の豊かさにしたがって、あなたがたの必要をすべて満たしてくださいます。」※9
神は、私たちの必要をすべて満たしてくれます。この人間中心の社会にいると、私たち自身が自分の力でお金を稼いで、財産を形成していると考えがちです。
資金が必要なときは、金融機関に融資を求めます。確かに、神は金融機関を用いて、資金を供給することもできます。でも金融機関はあくまでも神の「道具」であって、究極的な供給元ではありません。
天と地のすべての資産は、私たちの天の父である神が所有しています。父なる神はイエスに、天と地のすべての権威を与えたのです。
神は、神ご自身の富の豊かさと、神の与える権威によって、私たちの経済的な必要に答えてくれます。良いときも悪いときも、神は安定して、私たちの必要に答えてくれます。神の供給は無尽蔵です。
キリスト・イエスのゆえに、私たちは神の豊かな祝福を祈ることができます。イエスは天にあるご自分の富を捨て、人となり、人としての必要をすべて体験しました。
そしてイエスは最終的に、私たちの罪のために十字架で死にました。イエスが父のもとに戻たとき、父なる神はイエスを神の右の座に着かせました。父なる神はイエスに、ご自分の無尽蔵の資産を委ねたのです。
4.蒔いたものを刈り取る
天地創造の3日目、神はこう命じました。「地は植物を、種のできる草や、種の入った実を結ぶ果樹を、種類ごとに地の上に芽生えさせよ。」※10
この原則を霊的に、また実用的に応用したのが、この約束です。
「人が種を蒔けば、刈り取りもすることになります。自分の肉に蒔く者は、肉から滅びを刈り取り、御霊に蒔く者は、御霊から永遠のいのちを刈り取りもすることになります。」※11
使徒パウロは、この種蒔きと刈り入れの原則を資産管理にも適用しています。この原則には4つの要素があります。
1) 種を蒔く
まず、収穫を刈り取るためには、種を蒔かなければなりません。あなたのささげものが現金であっても、現物の献品や小切手であっても、ささげたものが祝福となってあなたに返ってくるのです。
2) 最高の種を蒔く
第二に、豊かな収穫を刈り入れるためには、最高の種を蒔く必要があります。単に種を蒔くだけでは、十分ではありません。神は、最高のささげものを求めているからです。神は、次善のものを必要としていません。
あなたの従順に答えて、神が与える祝福は完全なものです。しかも常に豊かなものです。神はご自分の最高のもの、ご自身のひとり子をあなたに与えました。あなたも最高のものを神にささげる必要があるのです。もし最高のものをささげないと、神の霊を悲しませることになります。
あなたの人生の最高のもの、あなたの時間の最高の部分をささげるべきです。あなたの才能の最高のもの、あなたの資産の最高のもの、あなたの所有物の最高のものを、神の祭壇の上にささげましょう。
旧約時代、神へのささげものは収穫の初穂のうち、最高のものであるべきだとされていました。例えば、アブラハムは戦利品の十分の一を、サレムの王、いと高き神の大祭司メルキゼデクにささげました。この戦利品には、貴重な宝飾品も含まれていたことでしょう。
また、モーセが荒野で幕屋を奉献したとき、イスラエルの指導者たちは牛車いっぱいの神への奉納物をささげました。
3) 刈り取りと種まき
第三に、献金も蒔いた量に応じて、刈り取ることになります。この聖書の原則は、生活の基本であり、どのような会社も、どんな社会体制でも、さまざまな商取引、あらゆる文化や経済習慣であっても、当てはまるものです。
4) 肥沃な土地
第四に、豊かな収穫は肥沃な土地から生み出されます。農家は、弱い苗をあまり耕されていない土地に植えるようなことはしません。むしろ最良の種を買いつけ、最高の器具と肥料を使って、徹底的に畑を耕すのです。
同じように、神の国のために最高の結果を求めることが、神の資産の管理人としての私たちの責務です。管理能力は、献金の額ではなく、委ねられたものをいかに賢く投資したかで、評価されます。ささげる金額以上に、その献金がどれだけ神の意志を反映したものであるかが大切です。
思慮分別の原則
私が何かを決断するとき、聖書が語る「思慮分別の原則」を用いるべきです。
2テモテ1:7にはこうあります。「神は、おくびょうの霊ではなく、力と愛と思慮分別の霊をわたしたちにくださったのです。」(新共同訳)
「思慮分別の霊」とは、聖霊にあるバランスのとれた心、つくり変えられた心のことです。
「ですから、兄弟たち、私は神のあわれみによって、あなたがたに勧めます。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、聖なる生きたささげ物として献げなさい。それこそ、あなたがたにふさわしい礼拝です。この世と調子を合わせてはいけません。むしろ、心を新たにすることで、自分を変えていただきなさい。そうすれば、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に喜ばれ、完全であるのかを見分けるようになります。」※12
まだイエスを信じていない「生まれながら人」や、イエスを信じてはいても自我に従って生きる「肉に属する人」は、この世の常識に従って人生を送っています。彼らは、神の知恵と力を受けず、ただ人間的な知恵だけに頼って生きているのです。
一方、聖霊に満たされているクリスチャンは「思慮分別の霊」の原則に従って生きています。聖霊に導かれたクリスチャンはキリストの心をもっています。瞬間ごとに信仰によって、神から知恵と導きに従って生きています。
※「生まれながらの人」「肉に属する人」「聖霊に満たされているクリスチャン」に関しては、こちらの『神の愛とゆるしを体験するには』の記事をご覧ください。
私は皆さんがこの「思慮分別の霊」の原則を用いて、資産の投資先を決めてほしいと願っています。感情的になって、やみくもにお金を使うことがないように期待します。
ただ衝動的に献金先を決めて、あなたの献金が間違えた使われ方をすることがありませんように。献金が無駄になる用い方をする団体にささげることは、悪い資金管理の一例です。同時にそのような献金は、神の御心に反し、聖霊を悲しませることになります。
もしかすると、あなたもいろいろ団体からさまざまな伝道プロジェクトに投資するように依頼されたことがあるかもしれません。献金をささげる前に、働きの価値と誠実さを注意深く評価して、聖霊の導きに従ってささげてください。
献金することを考えている団体に、遠慮なく質問してください。その団体の働きや財務状態を調べてください。あなたの献金の何パーセントが実際に、伝道の前線で使われるのかを調べてください。また、あなたの献金が本当に神の栄光を現すために用いられるのかも、見極めてください。
また、献金する教会や宣教団体が、福音伝道や弟子づくりで、どのような実を結んでいるという観点で、評価することもお勧めします。
5.神の栄光のためにささげる
神に委ねられた資産の管理者としての目的は、ただ一つです。管理者として、神に栄光を帰することです。まず優先順位を明確にしてください。
優先順位が不明確だと、日常の必要に追われて、本来の目的が見えなくなります。聖書のことばが、本来の使命へといつも立ち返らせてくれます。
まずあなたの第一の優先は、神であるべきです。その次に来るのが家庭です。家庭は神が最初に創造した人間関係の秩序です。家庭を優先することは、神を第一にすることでもあるのです。家族の必要を満たすことは聖書の命令であり、信仰の証しです。
あなたが社会的弱者と言われる、生活保護受給者や孤児、シングルマザーの世話をすることも、イエスを証しすることになります。また、地域社会の福祉の向上のために、ボランティアとして時間や才能をささげることも、経済的に寄付をすることも、イエスによって変えられたあなたの人生を証しです。
まだイエスを知らない人もあなたのことを見て「さすがクリスチャンだ」とあなたを見直すことでしょう。あなたの良い行いを見て、人々は神に栄光を帰するようになります。
しかし最優先すべきことは、やはり神を愛し、神のことばに従うことです。あなたの時間、才能、資産の優先順位の第一位を、神と大宣教命令のためにささげることに置いてください。
神を礼拝し、聖書のことばを正確に伝え、大宣教命令成就のために活動する教会や宣教団体に、積極的に献金をするようにしましょう。弟子づくりや福音宣教、大宣教命令などの神の命令と、直接関係のない教会や団体に、神が委ねた資産を投資することは、この優先順位から見ると、良くない投資とも言えるのです。
6.心からささげる
良い資産管理には確かに、献金という行動も大切です。しかし行動以上に大切なことは、ささげる動機です。動機が献金をする理由となるからです。
私たちの献金の動機は、温かい愛に満ちた神への真実な心から生じるべきです。私たちの献金が、神を喜ばせ、神への愛を表現するものであるべきです。
「天に宝をたくわえなさい」というイエスの命令に従って、私たちは献金をささげます。私たちの献金の動機が、この世界の困窮する人々に、神に委ねられた豊かさを届けるためであるべきです。大宣教命令を成就させ、キリストの福音を全世界に届けるという、純粋な動機であるべきです。
神の栄光のため、使命を達成するため、聖霊の力によって正しい動機を保ち続けることが必要です。いつも私たちの動機が守られるように、神に祈りましょう。純粋な心で神に最大限のささげものをささげていきましょう。
こちらの記事もご覧ください
『献金とは何ですか?』
『霊的呼吸を忘れないで』
[著者紹介]ビル・ブライト(1921-2003年)実業家であり、フラー神学大学院の大学院生であったビル・ブライトは、将来社会を導くリーダーに福音を届けるビジョンをもって、妻のヴォネットとカルフォルニア大学ロサンゼルス校で伝道を開始。このムーブメントが全米、世界各国に広がった。ビルとヴォネットは、国際キャンパス・クルセード・フォー・クライストの創設者であり、長年総裁を務めた。多くの著書、小冊子が多数ある。本稿はビル・ブライト博士のメッセージ “How You Can Experience the Joy of Giving”の日本語短縮版。
脚注:(1) 1コリント4:1,2 (2) 2コリント9:7 (3) 使徒17:28 (4) 使徒20:35 (5) 2コリント9:6-8 (6) 箴言11:24,25 (7) 箴言11:24,25 (8) ピリピ4:12,13 (9) ピリピ4:19 (10) 創世記1:11 (11) ガラテヤ6:7,8 (12) ローマ12:1,2
聖書:新改訳聖書2017©️2017新日本聖書刊行会
●個人学習のために
1.神の働きのために忠実に献金をしている人を知っていますか。その人に献金したことで得た喜びがあるか、質問してください。
2.1テサロニケ5:18 を暗誦しましょう。感謝できないと感じるときに、この箇所を黙想してみてください。
3.マタイ6:21 を暗誦してください。日常の支出と神にささげる献金額を確認してみてください。あなたの「富」はどこにありますか。この地上ですか。それとも天国ですか。
4.あなたの人生で「受けるよりも与えるほうが幸いである」と実感した経験はありますか。
5.ピリピ4:19 を暗誦してください。献金することを躊躇するとき、この箇所を思い出してください。
6.あなたの時間や才能、財産を大宣教命令を成就させる働きのために、どのようにささげていますか。あなたにゆだねられた賜物は、人々が神の愛とゆるしを受け取るために、どのように用いられて来ましたか。
●グループ・ディスカッションのための質問
1.互いの励ましのために、神があなたの献金をどのように祝福されたのかを、グループで分かち合ってください。
●『伝わる概念』シリーズ
生き生きとしたクリスチャンとして、以下の概念をまず自分のものとして、次の人に伝えてあげてください。
1. イエスの独自性
2. クリスチャンである確信を持つためには
3. 神の愛とゆるしを体験するには
4.聖霊に満たされるには
5. 聖霊に満たされて歩むには
6. 伝道で実を結ぶには
7. イエスを友だちに紹介するには
8. 大宣教命令を成就するには
9. 信仰によって愛するには
10. 確信をもって祈るには
11. 献金の聖書的意義(本稿)
11. 神の御国に投資する ⇦次は
11. 聖書的資産運用